みなさんは、このワニのような風貌をした魚をご存知でしょうか?
これは**「ブロシェ(Brochet)」**、和名では「カワカマス」と呼ばれる淡水魚です。フランス・リヨン地方の名物料理である「クネル(白身魚のすり身団子)」には欠かせない最高級の食材として知られています。
1994年、リヨンでの記憶
私が1994年に修行していたフランス・リヨンでは、このブロシェが毎日のように内陸のレストランへと運ばれていました。
しかし、この魚には大きな特徴があります。それは、日本のハモのように抜けにくい小骨が入り組んでいることです。そのため、フランスではハモのように骨切りをするのではなく、独自の技法で調理されてきました。
当時の調理場では、ブロシェを三枚におろし、小骨ごと丁寧にすり身(スリミ)にします。そこにたっぷりのクリームやバターを合わせ、裏ごしを繰り返すことで、あの究極に滑らかな「クネル」へと仕上げていくのです。日本ではなかなか見ることのできない、まさに熟練の技が試される光景でした。
今回の仕立て:ムニエルで味わう希少な一皿
実は、ブロシェがこれほど大きなサイズのまま、冷凍されずに生の状態で手に入ることは極めて稀です。
本来であれば伝統的なクネルにするのが定石ですが、今回はあえて、
フライパンで皮目をパリッと香ばしく焼き上げる**「ムニエル」**としてご提供いたします。